或るヒスイ拾い人のブログ

ヒスイ拾い雑感。採集した糸魚川ヒスイの紹介。

ヒスイ拾い考 その三

f:id:wangnyang:20221230092129j:image

4 「ヒスイ」について

 手元の鉱物鑑定図鑑(発行:白河書院)によれば、「ヒスイ輝石」とは、以下の性質を有する鉱物です。

⑴化学組成 NaAlSi2O6

⑵白色(緑、淡緑、淡青、青、淡紫、赤褐、黒)

⑶ガラス光沢

⑷透明〜半透明

⑸硬度6〜7

⑹比重3.33

⑺柱状結晶。緻密な塊状、柱状から繊維状。

⑻蛇紋岩岩体中の曹長岩、低温高圧相の変成岩から産出。

 

 ヒスイは「鉱物」ではなく、「岩石」であるとよく言われます。その意味するところは、岩石とは鉱物の集合体であり、一般に「ヒスイ」と言われる石は、①「ヒスイ輝石」という鉱物の集合体である、或いは、②通常、ヒスイ輝石以外の鉱物と混じり合って構成されているということだと思われます。

 ヒスイ輝石の自形結晶は柱状であり、よく「味の素」に例えられます。ヒスイをルーペで観察すると、細長いキラキラを見ることが出来ます。

 

(細かい結晶)

f:id:wangnyang:20220507082228j:image

(良くみられる結晶)
f:id:wangnyang:20220507082224j:image

(大きく成長した結晶)
f:id:wangnyang:20220507082221j:image

 ヒスイは、多数のヒスイ輝石が緻密に絡まりあって形作られています。そのため、ダイヤモンドよりも割れにくいとされています。

 また、ヒスイは変成岩に分類されています。変成岩とは、ウィキペディアによれば、「既存の岩石が変成作用を受けてできた岩石」とのことです。つまり、元々は別の岩石だったものが、圧力や熱などによって、化学的に変化してヒスイになったということです。そうすると、わずかな条件の違いによって、ヒスイに変化する部分もあれば、そうでない部分もあるのではないかと思われます。

 ちなみに、ネットで色々と調べてみますと、「ヒスイ」と呼べるかどうかは、ヒスイ輝石の含有率で判断されるようですが、どうも一義的な見解はなさそうです。概ね、岩石に占めるヒスイ輝石の割合が80-90%程度が一応の目安とされているようです。このような高純度のヒスイは、見た目としても透明度の高い上質なヒスイとなるでしょう。もっとも、この割合を下回る場合であっても、鑑賞に耐えうる美しさを保つ石もあると思います。いずれにしろ、私のような素人にとっては、見た目の質感で判断するほかない以上、あまり厳密に考える必要はないのかもしれません。

 ヒスイ輝石の本来の色は白色です。そこに微量の元素が混じることによって、上述のような、様々な色になるとのことです。緑はクロム(Cr)やオンファス輝石由来の鉄(Fe)、紫はチタン(Ti)、青はオンファス輝石由来の鉄とチタン、黒は炭素(C)が発色原因とのことです。

 ヒスイ拾いにおいて、白い石を探すのが定石とされているのは、ヒスイ輝石の本来の色が白だからということでしょう。

 なお、ヒスイ拾いをしていると、灰色のヒスイを拾うことがあります。しかし、ヒスイ輝石の色に「灰色」の記述はありません。これは、おそらく、ヒスイ輝石以外の鉱物或いは不純物が混じる割合が多いため、灰色がかって見えるのではないかと考えています。その意味では、灰色ヒスイというのは存在しないといっても良いかもしれません。

 ヒスイ輝石は、透明から半透明の石ですが、実際には、透明と言える程、高純度のヒスイが拾えることは、ほぼ無さそうです。そのため、ヒスイ拾いの場合には、半透明具合がヒスイを判別する目安となります。

 ヒスイ輝石は、他の白っぽい鉱物よりも重く、堅い鉱物です。

 ヒスイの比重(質量/体積)は、3.33とされています。実際には、他の鉱物や不純物が混じっていますので、私の場合には、白っぽい石で、比重が3.00を超えるかどうかを一つの目安と考えています。なお、比重は、①水を入れた容器の中に、石を糸で吊るして入れ、②押し出された水の質量(=体積)を測り、③その数値を、その石の実際の質量で割ることで得られます。

 傷のつきにくさ(硬さ)の目安となるモース硬度では、正長石(モース硬度6)と石英(モース硬度7)の中間に位置しています。一般的なナイフのモース硬度が5〜6なので、ナイフで傷がつくかどうかで試す方もいるようです。